カテゴリ:革について > ホースハイド

Q: What is the difference between Top Grain and Full Grain?

A: There is no difference. The equivalence of both terms is recognized by ASTM International, which defines both terms in ASTM D1517 - Standard Terminology Relating to Leather:

Full Grain: having the original grain surface of the skin.
Top Grain: grain side of a split hide from which nothing except the hair and associated epidermis have been removed.

The two terms are used interchangeably to mean leather that has the original grain surface completely intact.

FAQs | Tiger Leather

Top Grain - Top grain leather has often been sanded to remove scars and then sprayed or pasted to "cover up" the work. Top grain is not the same as "Full Grain" leather.

Leather Guide | Tandy Leather Factory

トップグレインレザーとは、傷跡を取り除くために銀磨りした後に、着色した革のことで、フルグレインレザーとは違う。


 工業用語ではフルグレイン=トップグレインだけど、フルグレイン≠トップグレインとし、それぞれを銀付き革、銀磨り革とする商慣習があるようです。以下は、銀付きのフルグレイン・ホースハイド vs 銀磨りのトップグレイン・ホースハイドの話です。 続きを読む
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

By Request – What’s the Difference? | Horween Leather Company

何が違うのか?

 しばらく前の記事で、何か知りたいことがないかと尋ねたところ、 Jason と Chris から特にホースハイドについて詳しく知りたいとコメント頂きました。そこで、馬革と牛革に関して、主な特徴と思われることに関して書こうと思います。また、ホーウィンが加工している他の革との違いも説明しようと思います。

 ホーウィンが扱っている革の多くは牛革です。私が言う牛革とは、ほぼいつもステアハイドのことを意味します。というのも、ホーウィンは一番重く厚い原皮を主に買っているからです。原皮には以下のような種類があります。

  • ステアハイド−食肉用畜牛のほとんどは去勢された雄牛です。去勢されていない雄牛が大牧場用に去勢されます。
  • ブルハイド−去勢されていない雄牛は、より大きく厚い皮で、肩周りに大量の皺があります。
  • カウハイド−軽い皮で、経産牛のため腹周りの繊維は緩んでいます。つまり、柔らかい繊維構造なので伸びやすい。ステアより長く生かされるので、治った傷や虫刺されなどの天然の傷跡が目立ちます。
  • ヘファー−未経産牛のため、経産牛より腹回りの皮は厚い。

 この分類はさらに細かく分類されます。ホーウィンが買っている原皮は Heavy Native Steers (HNS) と Butt Branded Steers (BBS) で、それぞれ重量で等級付けされています。HNS と BBS の主な違いは焼印の数です。HNS のロットは所定の平均重量通りに販売されており、焼印のある原皮は5%以下で、一番良い原皮と一般的に見なされています。

 仔牛の原皮はステアハイドやカウハイドに比べると小さくて軽い(薄い)。ステアハイドとカーフスキンの大きな違いは銀面で、カーフスキンの方がきめ細かい銀面をしています。「良い」ではなく「きめ細かい」とわざと言っているのは、単に違うだけだからです。私は、銀面のみを基準にして、一方が他方より必ず良いと言うことはしません。製造者から見れば、ステアハイドは良い革です。

 ホーウィンはアメリカバイソン(バッファロー)も扱っており、ステアハイドと同じように思うでしょうが、全く違います。アメリカバイソンの皮は脂肪を多く含んでおり、特に背中の天然の瘤のところに、薄くて軽いポケットのようなものがあります。また、ごつごつした動物のため、天然の皺がたくさんあります。アメリカバイソンは畜牛とは違う育ち方をします。

 ホースハイドとステアハイドには大きな違いがあります。ホースハイドは銀面が粗く、ホースハイド同士で比べても重さが大きく違い(軽かったり薄かったり)、摩擦に強く、繊維構造が異なっており、天然の傷跡が目立つので歩留まりが悪い。一方、ステアハイドは、ステアハイド同士で比べても重さや使用可能面積はほぼ同じなので歩留まりが良く、また、入手もしやすい。

horsehide or cowhide

上側:牛革、下側:馬革

 ホーウィンは、ステアハイドは左上のように半裁(side)し、ホースハイドはホースフロント、ストリップ、シェルの3分割にしています。ストリップとシェルはピット槽を使ったフルベジタブル鞣しで、ホースフロントはフルベジタブル鞣し or 混合鞣しです。ホースフロントは、front quarter horsehide (FQHH)、double horsefront (DHF)、single horsefront (SHF) とも呼ばれています。ストリップは、bark strip、russet horsehide strip、natural horsebutt strip、north of cordovan とも呼ばれているのですが、ホースフロントよりも厚く、1.6 mm 〜 4 mm あり、変な形をしていますが素晴らしい革です。ホースフロントが伝統的にジャケットに使われてきたのは、丈夫で薄く、ジャケットに向いているからです。ステアハイドより軽く薄いカウハイドもジャケットに向いています。

closeup

真上から時計回りに、Color 8 Shell、Moc Latigo、Burgundy Horsehide Strip、Gray Essex

 この接写で、銀面の違いが良く分かると思います。シェルは銀面が無く、ストリップは肌理が粗く、はっきりとしています。両側のステアハイド(Latigo、Gray Essex)の肌理はストリップよりは細かいけど、それでもはっきりとしています。シェル以外全て、銀付き革です。

 この記事の元となった質問の本質は、ホースハイドは一番良いジャケットになるか?、ということでしたが、その答えは人によります。私が言えることは、靴と同じように、革が変わるとジャケットも変わるということだけです。使用目的によって革と鞣し方は変わります。特に、鞣し方は一番重要です。






 ステアハイド

Single Bend, 9-10 square feet, $190 (1デシ 2.2ドル)
Single Shoulder, 5-6 square feet, $98 (1デシ 1.9ドル)

Brown 4oz Chromexcel 1 Brown 4oz Chromexcel 2

Brown 4oz (1.6mm) Chromexcel Hides | Fine Leatherworking


Cavalierは油脂分を抑えたChromexcel

Navy Cavalier,  4-5oz Sides Chromexcel Seconds Navy Cavalier,  4-5oz Sides Chromexcel Seconds 2

Navy Cavalier 4-5oz (1.6-2.0mm) Sides Chromexcel Seconds


Derbyはフルベジタブル鞣しのEssexをワックス&タンブル加工したもの

Derby hides are the waxed and tumbled version of Essex Derby hides are the waxed and tumbled version of Essex 2

English Tan 6oz (2.4mm) Derby Seconds


 ホースハイド

Full Single Horse Front, 11-16 square feet, $195 (1デシ 1.6ドル)

Brown, 2-3oz Chromexcel Single Horse Fronts 1 Brown, 2-3oz Chromexcel Single Horse Fronts 2

Brown 2-3oz (0.8-1.2mm) Chromexcel SHF (single horse front) Leather Hides | Fine Leatherworking

Black, 2-3oz Chromexcel Single Horse Fronts 1 Black, 2-3oz (0.8-1.2mm) Chromexcel Single Horse Fronts 2

Black 2-3oz (0.8-1.2mm) Chromexcel SHF (single horse front) Leather Hides | Fine Leatherworking


ストリップとトラを生かした財布

strip 1 strip 2

Horse Hide, A Newbies Opinion **lots Of Pics** | Leatherworker.net

Horshide Bifold

Horshide Bifold $65 | Hide and Grain


 アメリカバイソン
Tobacco Brown 8-9oz Buffalo, American Bison Leather Hide Tobacco Brown 8-9oz Buffalo, American Bison Leather Hide 2

Tobacco Brown 8-9oz (3.2-3.6mm) Buffalo, American Bison Leather Hide | Fine Leatherworking






 厚みの違い

ホースフロント 0.8 – 1.2 mm
ステアハイド 1.4 – 1.6 mm 〜 3.6 – 4.0 mm

Chromexcel - Horween Leather Tannery

CHROMEXCEL | The Horween Tannery


左:ホースフロント 0.8 – 1.2 mm
右:ステアハイド 1.6 mm

Black, 2-3oz Chromexcel Single Horse Fronts 3

Brown 2-3oz (0.8-1.2mm) Chromexcel SHF (single horse front) Leather Hides | Fine Leatherworking



 断面
steer sem horse sem

革は鞣し(なめし)の方法で堅さが違いますが、動物によっても繊維の細さや緻密さが違うので堅さやしなやかさも違ってきます。上の写真は牛革と馬革の断面写真です。馬革のほうが細い繊維が絡み合っているのがわかります。

革について | 中村千之助商店



 見た目の違い(エアロ創業者の娘さんによる解説)
11-21-2012 0200

Horween USA and Aero Leather Joint Statement | The Fedora Lounge

 FQHH は平均 10 スクエアフィート、Heavy Steerhide は平均 23 スクエアフィートなので、裁断前ならば FQHH と Heavy Steerhide を見分けるのは簡単です。
 しかし、裁断した場合、皮革に精通した知識無しで両者を見分けるには、銀面と重さの微妙な違いを調べるしかありません。


11-22-2012 0406

Horween USA and Aero Leather Joint Statement | The Fedora Lounge

 上から、

  • UK製 Mid Weight Horsehide:厚さ 1.1 mm、重さ 57 g (30cm×30cm)
  • Horween Chromexcel Front Quarter Horsehide:厚さ 1.3 mm、重さ 85 g (30cm×30cm)
  • Horween Chromexcel Heavy Steerhide:厚さ 1.8 mm、重さ 139 g (30cm×30cm)



 価格の違い。上掲の店 Fine Leatherworking では、ステアハイドは1デシ 約2ドルに対して、ホースハイドは1デシ 1.6ドル。
11-24-2012 0422

Horween USA and Aero Leather Joint Statement | The Fedora Lounge

 ステアハイドはFQHHより若干高い革なのですが、ステアハイドは傷が少なく、歩留まりが良いため、最終的には、ステアハイドはFQHHより安いジャケットになります。・・・

 ホースハイドの裁断が非経済的なのは、革の面積のせいです。ホースハイドは約 11 スクエアフィートなのに対し、ステアハイドは約 26 スクエアフィートです。ステアハイドと違って、ホースハイドの端は大変薄くなることがよくあり、廃棄率が高めです。また、大きいジャケットを裁断すると、残りが小さく使えないため、ますます廃棄率が高くなります。同面積で裁断効率を比較すると、ステアハイドは5〜6着に対して、ホースハイドは4〜5着くらいです。・・・

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

Breaking In A New Horsehide Jacket - Aero Leathers

Breaking In A New Horsehide Jacket | Aero Leathers



 ホースハイドはとても丈夫な革なので慣らしが必要です。慣らすには2〜3週間ほどかかりますが、Customers Gallery の着用画像を見ればお分かりのように、時間をかけて慣らす価値は十分あります。

 フロント クォーター ヘビー ホースハイド(FQHH)を慣らすのが一番大変なのですが、簡単に慣らす方法が一つあります。ジャケットをどこか暖かいところに一晩放置するのです。

 FQHH にはワックスとオイルがたっぷり入っているので(*1)、あらゆるワックスがそうであるように、冷えると硬くなります(*2)。この硬さは顧客にとって最大の欠点のようですが、暖めると革が柔らかくなり(*3) 、とても着やすくなります。

(*1) 「タンニンなめしのゴートスキン(上)は、FQHH(下)より厚いが、重さはほぼ同じ。ゴートスキンは蝋引きされたFQHHより乾いている(Aero Mariner | The Fedora Lounge)」とのこと。
Aero Mariner

(*2) 真説!ホースハイド vol1真説!ホースハイド vol2(そして最終話) | LDFS ブログ
(*3) エアロレザーは何故硬い | 三一十四四二三ワイルドジャンボ

 1〜2時間着れば体温で暖められて柔らかくなるでしょうが、霜の降りた寒い朝は予め暖めておくのが最善です!

 新しい服を慣らすのに、以下のような伝統的な方法もあるのですが、エアロ社のアドバイスとしては、革特有の艶や風合いを故意に作らないでください。着て、愛用してください!

 馴染むのを待つことができない人のために、以下のような方法があることはあるのですが。。。


 501メソッド

 ジャケットを着たまま風呂に入るかシャワーを浴びて、乾くまで着ます。慣らすだけでなく、あなた自身の形にぴったり合うようになります。暖かい夏の日にするのがいいでしょう!

 同じような方法で、Levi Vintage Clothing に「ユーズド加工」のホースハイドジャケットを作ったことがあります。完成したジャケットを暖かい水に数時間漬けた後に、肘を曲げたマネキンに着せ、襟周りはちょうどいい感じに折り、ジッパーを閉めて、工業用熱風機から1メートルほど離して乾かしました。この方法は真冬にするのがベストです! ハンガーに掛けて乾かしてはいけません。

 この方法を真似て大成功したエアロユーザーを数名知っていますが、Levi Vintage Clothing とのコラボでは一着一着違う仕上がりになったので、お勧めするというよりは紹介するにとどめます。漬け込み時間が長すぎたり、早く乾燥させすぎたことによるダメージや型崩れによって、貴方のジャケットが思い通りに仕上がらなくても、エアロ社は責任を取ることはできません。自己責任でお願いします!


 サビル ツイード スーツ メソッド

 これは、領地を持っている貴族に古くから好まれた方法でした。新しいツイードのスーツを受け取った領主は、庭師にそれを2〜3ヶ月くらい着させて、新品臭さが無くなると庭師から回収して、領主が着ていました。ぼろぼろになり、領主の好みに合わなくなると、庭師にあげていました。これはホースハイドジャケットの慣らしにも使える素晴らしい方法ですが、同じサイズの庭師を雇わなければならないという欠点があります。


 新しいホースハイドジャケットの着方

 とても簡単なことで、ただ着れば良いのです。大切にして過保護にしてはいけません。首の後ろをフックに引っ掛けて吊るすのだけはやめてください。そうしない限り、手荒く扱っても大丈夫です。


 手入れ

 手入れはとても簡単です。何もしないこと。絶対に何もしないこと。オイルを入れてはいけませんし、クリームで手入れもしてはいけません。エアロ社が売っている手入れ用品(*4)も使ってはいけません。エアロ社が売っているものは、1930〜1940年頃のステアハイドジャケットとオイルが抜けたビンテージのホースハイドジャケットを手入れするためのものであって、貴方のエアロレザーを手入れするものではありません。2035年(*5)になるまで使わなくていいかもしれません。

(*4) Rejuvenator Oil by Leatherique
Rejuvenator Oil by Leatherique

(*5) この記事がGoogleにインデックスされた日付は2012年5月22日なので、FQHH の場合、23年間はノーメンテで良いということなのでしょうか。
続きを読む
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

↑このページのトップヘ

QLOOK